ケン・フォレット「ホーネット、飛翔せよ」

「針の眼」以来ケン・フォレットのスパイ・冒険小説が面白いのを知って、目についたのを次々読むようになりました。
この作品は、「レベッカへの鍵」「鴉よ闇へ翔べ」等と同じく、第二次世界大戦中のヨーロッパが舞台。
1941年6月、デンマークはドイツの占領下にありました。
ドイツへの空襲を試みるイギリス空軍は、何故か自軍の爆撃機待ち伏せされた様に撃墜されるのに悩んでいました。
作戦がドイツ軍に洩れているとしか、考えられません。
デンマークの小さな島で、ドイツ軍の施設に偶然入ってしまったハラルド少年は、レーダー基地ではないかと気が付き、レジスタンス組織に入っている兄のアーネ達と、この情報をイギリスへ伝えたいと思うのですが、ドイツ軍の厳しい統制下で至難の業でした。
ハラルドは、最後の手段として施設の写真を撮り、親友の家に眠っていたホーネット・モスという布張りの様な複葉の小型機で、親友の妹カレンの助けを借りて、北海を横断しイギリスへ飛び立ちます。
ドイツ軍の手先になってしまっている警察の眼を盗み、古いホーネット・モスを工夫して修理、燃料も敵の設備から盗み出すという苦労の連続、無事に飛べる保証もない決死行でした。
ケン・フォレットのどの作品でも、しっかり者の女性が活躍しますが、この作品もカレンの助けがなければ、ハラルドも成功しなかったでしょう。
まさに、手に汗を握る冒険小説でした。
よく思うのですが、外国の作品が日本語に翻訳出版される時の題名のつけ方が上手な事が多く、読みたい気持ちをそそります。
この作品も、原題は「HORNET FLIGHT」ですが、「ホーネット、飛翔せよ」なんて、素晴らしいと思います。

ホーネット、飛翔せよ 上 (ヴィレッジブックス F フ 7-1)

ホーネット、飛翔せよ 上 (ヴィレッジブックス F フ 7-1)

ホーネット、飛翔せよ 下 (ヴィレッジブックス F フ 7-2)

ホーネット、飛翔せよ 下 (ヴィレッジブックス F フ 7-2)