ピーター・トレメイン「サクソンの司教冠」


ピーター・トレメインの修道女フィデルマ・シリーズの長編第2作。
日本での翻訳出版が、原作のと順序が変わっていたのが、前回の第一作の出版から元に戻ったような感じで、落ち着いて読めます。
と言っても、聞かなかったら知らない事で、読者に分かり易いようにと考えて、順序を変えて出された様なのですが、聞いてしまったら、やはり原作の出版順序と同じ方が、望ましく思われます。
今回は、フィデルマが所属する修道院の「宗規」に教皇の認可と祝福を頂くため、前回協力して事件を解決したエイダルフが随行員として加わっている大司教指名者ウィガードの一行と一緒に、ローマにきています。
ウィガードは、サクソンのカンタベリー大司教に指名され、教皇の祝福を願うためローマに来たのですが、滞在中の宮殿で絞殺体となって発見されます。
また、教皇の祝福を頂くために持参した宝物が無くなり、犯人として疑われたアイルランド人の修道士は姿を消します。
教皇に請願を取り次ぐ伝奏者のゲラシウス司教の命を受けて、フィデルマとエイダルフは、この事件を解決するため、またまた協力して奔走することになります。
ウィガード一行の滞在する宮殿や、ローマの気味悪い地下墓地や貧民街を舞台に、宮殿の警備の衛兵隊、当時、宮殿にいた修道院の院長や修道士、修道女達から話を聞き、絡んだ糸を解きほぐして行きます。
読んでいる私の頭の中もこんがらがっていましたが、目出度く解決、ほっとしたところで風邪をひき、暫く寝てばかりの日を過ごしました。
この本で残念なのは、あとがきの若竹七海さんと言う方が、どうもフィデルマがお嫌いのようで、解説が嫌味な事。ファンとしては、悪口は嫌な物です。どうして、わざわざこんな解説がいるのでしょうか?
一緒にすなおに「面白かった」と、楽しみたいものです。

サクソンの司教冠 (創元推理文庫)

サクソンの司教冠 (創元推理文庫)