エリス・ピーターズ「カマフォード村の哀惜」を読む

エリス・ピーターズの「カマフォード村の哀惜」(長崎出版株式会社発行、土屋元子翻訳、2010年6月発行)を読みました。
先日読んだ「納骨堂の多すぎた死体」と同じフェルス一家シリーズで、こちらの方が先に書かれた作品です。
「納骨堂」より5年前の設定で、ドミニクは13歳です。
舞台は、炭鉱に隣接したカマフォード村。古い掘削の立坑の跡が残る地帯を、戦争が終わった今は国営で大規模な地表採炭方式が、あたりの様子を一変させつつあります。
人々がこの地方に戻ってきます。外国からの労働者、戦争で捕虜になったドイツ人達も何人かここに住んでいます。
新しい時代の波にかたくなに逆らう老地主。嫌な性格で迷惑がられるドイツ人。
老地主は、今様の採炭方式に反対して、地所を売ることを拒み続け、ドイツ人は近くに住むユダヤ人の主婦に執拗な嫌がらせをしています。
そこで、殺人事件が起こります。問題のドイツ人が殺されているのを、ドミニク少年と友達が発見したのです。
ドミニクの父親であるフェルス巡査部長の捜査が始まり、ドミニクもまた首を突っ込むことになります。
そして、老地主の跡取り息子もまた遺体で発見されます。彼は父親と違い、採炭会社に地面を売ろうと思う様になっていたのです。
フェルス親子の活躍で、事件は解決するのですが・・・


この本を読んで、私はびっくりしました。
そして、この夏の暑い最中にとても悩まされる事になりました。
それは、今まで経験した事が無いことでした。
ストーリーは面白かったのですが、翻訳された日本語の文章のあちらこちらに気になる所がありました。
私は素人なので、えらそうな事は言えませんが。
また、原作が読めないので、誤訳があるかどうかは分かりません。
ただ、翻訳され本になった日本語に、あまりにも誤字脱字や変な言葉遣いが多く、意味の分からない言葉もあったのです。推敲とか校正とかいう事はされていないのかと、不思議に思いました。
今までに読んだ本では、こんなひどい事はありませんでした。
気になった所にポストイットを貼ってゆきましたら、20箇所にもなりました。

どうしても分からない気になる言葉については、読者カードに書いて出版社に問い合わせましたが、お返事を戴いていません。
質問は、次の3点です。
1、50ページ15行目、「来日」は「来英」ではないか?
2、108ペー最後から2行目、「木の籾」とは何か?
3、428ページ11行目、「半神の夫」の「半神」とはどういう意味?

好きなエリス・ピーターズの作品ですし、装丁やカバーのデザインもお洒落で気に入っていたのに、あちらこちらで引っかかって、楽しみが半減し残念でした。
そんな事で、大変疲れた一冊でした。

気を取り直して、次はジェラルディン・ブルックスの「古書の来歴」を読みます。
今度は、期待できると思います。