エリン・ハート 「アイルランドの哀しき湖」を読む


エリン・ハートの「アイルランドの哀しき湖」を読みました。
湿原地帯を舞台とするサスペンス、先日読んだ「アイルランドの柩」に続く第2弾です。
所は変って今度はオファリー県、やはり泥炭を掘り出している湿原で、先史時代の遺体が発見され、その調査保存の為に、主人公の一人解剖学者のノーラが博物館からの依頼で出向きます。パートナーの考古学者コーマックも近くにある知人の別荘に滞在していて合流します。
近くの泥炭層から、また別の遺体が発見され、これはかなり新しいことが分かります。
両者は、共通の儀式的な殺され方をした痕があります。
また、続いて発掘にかかわる人達の間でも次々と殺人事件がおこり、コーマックが疑われることになったりします。
先史時代の遺体は別として、他の事件は、泥炭の掘り出し作業の時に発見され、博物館に収めるべき高価な金の装飾品や、鉄器などを隠し持った事をめぐっての事件ですが、泥炭掘り出しの現場スタッフ、遺体発掘のスタッフ、学者、警察入り乱れて、複雑な人間関係の絡み合いとなり、面白く読みごたえある作品でした。
アイルランドの湿原地帯の、知らなかった粉塵風の様子とか、夏至と妖精、魔女などの伝説、文化に触れる事が出来る楽しみもあります。