「大聖堂ー果てしなき世界」読了

ケン・フォレットの「大聖堂」の続編「大聖堂ー果てしなき世界」を読み終えました。
ソフトバンク文庫、上、中、下、三巻の長編ですが、思ったよりも楽に読めました。
前作「大聖堂」も同様に大作でしたが、難しい薀蓄があるわけでもなく、読み易くストーリーが面白いので、短時間に読破しようと思わなければ、疲れるという事もありません。
前作より200年後の14世紀、同じイングランドのキングズ・ブリッジが舞台で、前作で苦労の末大聖堂を建てたジャック・ビルダーの末裔のマーティンが主人公です。今度はイングランドで一番高い大聖堂の塔を建てるまでの物語。
そこに至るまでの、主人公と幼馴染等の人びと。
主人公を支える修道女のカリス、貧農のウルフリックとグエンダの夫婦達の艱難辛苦の数々。ロマンスあり、生きる為のすさまじい駆け引きあり、殺しさえもします。
沢山の登場人物が、皆生き生きと描かれ、出世欲、俗物根性の塊のような修道院長や、強欲無慈悲、専横の領主の支配下で重税に苦しむ商人や職人達、自由の無い貧しい生活にあえぐ農民達、ペストの流行、もう、どうしようもない様な救いの無い世界に、それでも負けずに知恵をしぼって強く生き抜く人々に、最後は光が見えて来てほっとします。
前作と同様というか、それ以上に残酷過激な場面が多くて、ここまで書かなければいけないのか、いささか低俗じゃないかと、げんなりする所も有りましたが、最後まで、はらはらどきどきしながら、飽きずに、読み飛ばす事も無く、ぐいぐい引っ張られて読み終えました。やっぱり、期待通りに大変面白い作品でした。