「修道女フィデルマの叡智」そのほか

ピーター・トレメインの修道女フィデルマ短編集「修道女フィデルマの叡智」を読み終えました。7世紀、古代アイルランドが舞台です。
バラエティーに富んだ5編の短編作品ですが、どれも予想を裏切らず、面白かったです。
私は、修道院(教会)、修道士、修道女の出てくるミステリーが好きです。
始まりはウンベルト・エーコの「薔薇の名前」でした。あの、おどろおどろしいお話です。
時代も遠い中世のイタリア、修道院という覗き見ることも出来ない世界でのミステリーは、不気味に面白く、ショーン・コネリー主演の映画も、乏しい私の想像力を補ってくれて、本当に興味深いものでした。

それから、のめりこんだのが、エリス・ピーターズの「修道士カドフェル」のシリーズです。
今でも、修道院物で、一番好きなシリーズです。
これは、作者がもう亡くなっているので、いまある21冊(光文社文庫)だけですが、これがまた、バラエティーに富んだ話、それぞれ優劣無く面白いのです。
スチーブン王と、女帝モードの争いに翻弄される12世紀のイングランドウエールズに近い地方の修道院が舞台の中心です。
カドフェルは、修道院で、薬草や、野菜を栽培し、薬を作り、病人や怪我人の手当てをする傍ら、色々な事件を解決してゆきます。読んでいると、薬草園のむせるような薬草のかおりが漂ってくるような感じがします。
これは、デレク・ジャコビ主演のテレビ・ドラマ「修道士カドフェル」を見たのが先でした。
もう1度、放映して欲しいと願っています。
文庫本のカバーのイラストが、全部違う花のデザインで綺麗です

それから、もうひとつ、ポール・ドハティーの「修道士アセルスタン」シリーズ。
14世紀の汚い汚いロンドンが舞台です。
そしてケン・フォレットの「大聖堂」とその続編。
ついでに、アルトゥーロ・ペレス・レベルテの「サンタ・クルスの真珠」もヴァチカンや教会が舞台の作品で、現代物ですがとてもよかったです。ミステリーの分類に入るのかどうか、分かりませんが。
ダン・ブラウンの「天使と悪魔」、先日、映画も公開されましたが、あれは、ミステリーでなくて、サスペンスと言うのでしょうか。やはり、ヴァチカンや、教会、聖堂が舞台でした。