ジェフリー・ディーヴァー「ソウル・コレクター」


昨年末に、読み終えました。
ジェフリー・ディーヴァーの「ソウル・コレクター」です。

いま、日本でも、ITを悪用した犯罪、なりすまし犯等のニュースが毎日のように報じられていますが、この作品は、まさに現代、今そのものといった感じです。
犯人は、これも現代病の一種「ためこみ屋」といわれるように、物を部屋一杯に積み上げて溜め込む人間で、欲しい物を得るためには、躊躇いもなく殺人をし、その罪を何の関係もない他人に転嫁してゆきます。
それに利用されるのが「データ(個人情報)」。
あらゆる個人のあらゆるデータを集めて、企業に売る商売のデータ・ファイリング会社があります。主にカード利用の通販などがその源泉となるようです。
その会社から巧妙に盗んだデータでねつ造され、証拠物件として置かれたものから、身に覚えのない罪に問われ破滅させられた人物あり、殺人の罪で捕えられた者ありの事件が連発します。
主人公のライムの従兄弟もその犠牲者の一人となってしまい、ライムとその仲間の捜査が始まります。
ライムと卑劣で残酷な犯人の知能戦を、身震いしながらも、面白く読めました。


私はカードで買い物をすることはありませんが、殆どの人が気軽に使うカード社会の現代です。悪賢い人間が狙っていると思って気を付ける必要があるでしょう。
そんなに大層な事でなくても、ネットで買い物をしたり、気になる物を見に行ったりすると、たちまちブログの端に、おすすめの本や花苗の広告が載ったりするのは、やはり自分のデータが取り込まれているのだなと、この作品を読んで、改めて感慨深いものがありました。