ジェフリー・ディーヴァー「獣たちの庭園」

先日のジェフリー・ディーヴァーの短編集「クリスマス・プレゼント」に続いて、今度は、長編「獣たちの庭園」を読みました。

この作者には珍しい歴史小説ということですが、1936年のドイツが舞台です。
この年の夏、ドイツではオリンピックが開催されようとしていました。
1914年から1918年の第一次世界大戦の後、ヒトラーがナチ党を率いて再軍備を進め、ユダヤ人の迫害や第二次世界戦争への道を進みつつありました。
アメリカで、ギャングからの請負で殺人を仕事としていたポール・シューマンというドイツ系アメリカ人が捕えられ、米国海軍情報部から、ドイツの政府高官の暗殺を命じられます。
断れば、電気椅子行きしか道はないのです。
オリンピック参加の選手団に紛れ込んで、ドイツへ渡ったポールの狙うエルンスト大佐というのは、架空の人物ですが、ヒトラー他実在の人物や、歴史、地理、文化など織り交ぜて、予想外の面白い作品でした。
ジェフリー・ディーヴァーという作家が、人気のある訳が分かる気がします。とても読み易く、分かり易くて面白いのです。
話の本筋とは外れますが、この1936年という年に、コーラやテレビという言葉が出てきたのがちょっと驚きでした。

獣たちの庭園 (文春文庫)

獣たちの庭園 (文春文庫)