「シャムロック・ティー」を読む

アイルランドの作家、キアラン・カーソンの「シャムロック・ティー」を読みました。


「シャムロック・ティー」という名前から、勝手にハーブティーにまつわるお洒落なお話かなと思ったのです。
シャムロック(クローバーやウマゴヤシ等)はアイルランドの国花ですし、なんとなく気になっていたのです。
図書館で借りてきて貰ったので、繰り返し読む時間はありませんでしたが、一口に言えば、想像していたのと違い、不思議なお話でした。
そして、ストーリーの展開とは関係があるのか無いのか分からないような、枝葉の広がった部分が多くて、正直に言えば、かなりの部分を読み飛ばしてしまいました。
クローバーやウマゴヤシは牧草として植えられると聞いていますので、本当かな?と思うのですが、この小説では幻覚作用のある植物となっています。それは、タバコとして使われたり、お茶として飲まれたりするようです。
そして、ヤン・ファン・エイクという画家の描いた「アルフィーニ夫妻の肖像」と言うこれまた不思議な感じの絵が主題となっています。
この絵は、いつかどこかで見た記憶はあるのですが、左の男性の顔がちょっと不気味で、好きな絵ではないので、詳しくは見ていませんでした。
私(カーソン)という少年が、従妹のベレニスと、寄宿学校で友達になったメーテルリンクという少年との三人で、シャムロック・ティーの力で、「アルフィーニ夫妻の肖像」の絵の世界の中へ入ってしまうお話です。
そして、もと居た世界へまた戻る事が出来るかどうかわからないので、今のうちに元の世界での思い出せる事を書き留めて置いたというのが、このお話のようです。
100の色に因んだ章からなる小説の形はお洒落な感じですが、主人公の生い立ちや思い出などの他に、取りとめなく挿話や薀蓄が並んでいるような感じで、日々に因んだ聖人の名前が次々と出てくるのも疲れましたが、折角借りてきて貰った本ですし、なんとか飛び飛びでも読み終えた本として、記録して置こうと思いました。
カーソン達の、現実の世界と幻想の世界、出来事の前後関係がややこしくて、誤解しているかも知れません。もう一度、丁寧に読み返せば分かるかも知れないのですが、その気になれません。
この本の装丁が綺麗だと思いましたら、先日買った「古書の来歴」と同じ柳川貴代+Fragmentさんでした。