「エルサレムから来た悪魔」を読む


アリアナ・フランクリンの「エルサレムから来た悪魔」を読みました。
初めて読む作家です。CWA歴史ミステリ賞(大好きな修道士カドフェルシリーズの作者のエリス・ピーターズ・ヒストリカル・アワード)を受賞した作品ということなので、読みたいと思いました。
12世紀、十字軍の盛んな頃、ケンブリッジで子供が次々に惨殺されます。
カトリックの信者達は、これはユダヤ人の仕業だと、ユダヤ人に報復殺人をするようになります。時の王ヘンリー2世は、税金を取る為に大事なユダヤ人達を保護しようとします。
イタリア南部のサレルノ医科大学で学んだ検視医アデリアは、シチリア王の命を受け、この事件を調べる為にやって来ますが、この時代のイングランドは女性の医者を認めないので、召使のマンスールを医者ということにして、検視や調査を始めます。
ケンブリッジに来る道中、一緒になったカンタベリーへの巡礼帰りの一行の一人の修道院長の病気を治して(この治療法が面白い)一命を救った為、協力して貰えるようになり、危険な場面もありますが、この事件は巡礼帰りの中の一人が犯人だと分かり、苦労の末解決します。
アデリアをカンタベリーへ連れて行ったシチリア王国の調査官も殺されたりしますが、最後近くまで犯人が分かりません。、アデリアのちょっとしたロマンスもあり、庶民的なヘンリー2世のキャラクターも面白く、当時のケンブリッジの様子等も興味深く読めます。
残忍な事件ですが文章もユーモアがあって面白く、読み応えがありました。
犯人が分かってからそれを踏まえて読み直すのも、見過ごしていた場面があったりして面白いので、今もう一度読み返しているところです。
シリーズで、2弾、3弾と出ている様ですので、翻訳出版されるのが楽しみです。