ホビットから、フィデルマへ

トールキン作、山本史郎訳「ホビット ゆきてかえりし物語」読み終わりました。
瀬田貞二訳「ホビットの冒険」も、両方とも、ストーリーは同じですから、原作の改訂による多少の違いはあるかも知れませんが、翻訳者の言葉使いの違いくらいで、そんなに変わらないように思います。
「冒険」の方は、日本人の方の挿絵、私は好きでした。勿論、トールキン自身による地図も載っています。
「ゆきてかえりし」の方は、色々な国で翻訳出版されたときの挿絵の抜粋が載っていて、お国柄が分かって面白かったです。
また、トールキン自身のイラストが沢山載っていて、特に、ドラゴン(邪龍)の山の地図は、地形がよく分かって良かったと思いました。
私は、想像力が乏しいので、いつも作品中の説明では、地理的な位置関係なんかがわかりにくいので、地図が載っていると助かります。
文章は、私の好みで言えば、瀬田貞二氏の方が自然で読み易いように思いました。
少年文庫の為か、漢字が少ないのがちょっと読みにくく感じた原因だったかも知れません。
山本史郎氏の方は、会話なんかに今風の言葉使いがあるのが、若い人向きかなと思います。原作の雰囲気を出すように、考えられたという事です。
資料等が添付されている点は、よかったと思います。

次は、これも大好きな、ピータートレメインの新しい短編集「修道女フィデルマの叡智」を読みます。
創元推理文庫から出たばかりです。
収録5作品の内、2作は、先だって買った「ミステリーズ!」に載っていました。
意外に早く、短編集として出版されました。
フィデルマは、7世紀のアイルランド5王国の一つ、モアン王国の国王の妹で、上位弁護士、裁判官の資格を持つ才色兼備の修道女、気持ちよく事件を解決してゆきます。
日本では、長編2作が出ています。(「蜘蛛の巣」、「幼き子らよ、我がもとへ」)面白かったです。
この秋には、次の翻訳が出るようで、待ち遠しく思います。

アイルランド幻想」は、同じ作者の短編集。アイルランドの民話や伝説から着想を得たと言う幻想的な作品集で、これもよかったです。もう一度読み返さないと忘れましたが。
ホロスコープは死を招く」は、、16人の作家の作品を集めたアンソロジーで、フィデルマ物の短編が収録されています。