「蛇、もっとも禍し」を読み終わる


ピーター・トレメインの修道女フィデルマ・シリーズの第3弾、「蛇、もっとも禍し(まがし)」を読みました。
「禍々しい」と言う言葉は使いますが、「禍し」と言うのは聞きなれなくて、違和感があったのですが、「創世記」からの文章で「ヱホバ神の造り給いし野の生き物の中に 蛇 もっとも狡猾し(まがし)」と日本語に訳されたのが、この小説の本文の前に引用されているので、これから取られた題名らしいことが分かりました。
それにしても、「禍し」を広辞苑や、古語辞典等で調べても載っていないのですが・・・
原題は「The Subtle Serpent」です。
題名の事はさておき、フィデルマの推理と活躍は相変わらず。
女子修道院での殺人事件の調査に船で向かう途中の海上で無人の漂流船に遭遇、しかもその船中にフィデルマが親しいエイダルフ修道士にプレゼントした書物を見つけます。エイダルフの行方は分かりません。
そして、修道院に着いてからも、また無残な殺人事件が。
修道院長と地方代官の対立や、フィデルマの兄であるモアン国王に対する謀反の計画が発覚したり、キリスト教以前のこの地方の宗教のシンボルだった「黄金の仔牛像」をめぐる争いと、複雑な状況の中、捕らわれていたエイダルフも助け出し、殺人事件も解決、謀反の計画も事無く終わります。
この作品も面白かったのですが、私としては、「幼き子らよ、我がもとへ」や、「蜘蛛の巣」の方が、好みに合ったように思います。