バルドゥイン・グロラー「探偵ダゴベルトの功績と冒険」

この本のおすすめが、本屋さんからのメルマガに出ていた事がありましたが、気になる事もなかったのです。
ある日、テーブルの上に、娘が買って置いているのを見つけたので、お先に失敬して読んでみましたら、面白かったのです。
私には、初めて聞く作者でしたが、短編集でとっつきやすく、作者名や作品名から受ける堅苦しい感じは全然なくて、ユーモラスな語り口ですし、垂野創一郎氏の翻訳も綺麗で、とても読み易い作品でした。

9編の作品は、お金持ちで探偵を趣味にしているダゴベルトさんが、いつも親しい友人のグルムバッハ夫妻に招かれて、食事を楽しんだ後、自分が名推理で解決をした難事件の数々を披露するという形になっています。
19世紀末から20世紀初頭にかけてのオーストリアの作家らしいので、その頃のオーストリア社交界での詐欺や盗難事件など、血なまぐさい事件ではなくても、かなり難しい事件を優雅に解決し、しかも嫌味なくお話するのが心地よくて、思わずグルムバッハ夫人と一緒になって、耳を傾けるという感じで読み終えました。

探偵ダゴベルトの功績と冒険 (創元推理文庫)

探偵ダゴベルトの功績と冒険 (創元推理文庫)