ヨハン・テオリン「赤く微笑む春」

スエーデンの作家ヨハン・テオリンのエーランド島シリーズの第三弾が出ました。
「黄昏に眠る秋」、「冬の灯台が語るとき」、に続く春、「赤く微笑む春」です。
今回も、元船長のイェルロフが登場しますが、入居していた老人ホームでの生活に満足出来ず自宅に帰ったところで、近所の新しい住人達の話相手となり、事件の解決にも力を貸すことになります。
この作品も、他の作品と同様に、何組かの親子の過去から現在につながる葛藤の物語が背景になっています。
今回の話は、エーランド島に帰って、石切り場跡の近くで住む事になった会社員のペールが主人公になっています。
ペールには、別れた妻がいて、時々出会う息子や病気で入院中の娘に心を痛め、昔破廉恥な雑誌を作っていて今は半分呆け老人となった父親に悩まされながら暮らしていますが、その父親の古い仕事場が放火され、仕事仲間だった人達が殺され、父親も何者かに狙われ轢き殺されます。
ペールは、手術を控えた娘の病院へ通う一方、犯人捜しのため、父親の古い仕事関係の人物達を捜し尋ね歩きます。そして、ペール自身も危うく殺されかけたところをイェルロフに助けられます。
ペールとイエルロフや、近所の住人達との関係に、エルフやトロールといった伝承がからんで、この地方らしい雰囲気のある物語になっています。
第四弾の「夏」はどんな展開になるのでしょうか、待ち遠しいです。

赤く微笑む春 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)

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黄昏に眠る秋 (ハヤカワ・ミステリ文庫)

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冬の灯台が語るとき (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)

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