庄野潤三さんの本三冊

庄野潤三さんの本を三冊、読みました。

庄野潤三さんは、先ごろ亡くなられた芥川賞作家の方です。
受賞作の「プールサイド小景」や代表作と言われる作品は読んだことがありませんでした。
「プールサイド小景・静物」は、7編の短編集です。
「プールサイド小景」「舞踏」は、ああ、こういう小説を書いておられたのだと興味深く読みましたが、少し辛い物でした。
平凡な家庭生活が夫の失業や浮気などで壊されてゆく、救いのない、結末のはっきりしない話は苦手です。
「夕べの雲」は、娘さん一人、息子さん二人の子供達が幼い頃の家族の様子をを淡々と綴った、庄野さんご自身のお若い頃のご家庭そのものだと思われますが、どこまでがフィクションなのかわからない小説です。その後の、子供さんたちが成人独立されてからのお話を、一連の小説で折に触れ読んでいましたが、これはそれ以前のお話で、小学生位の子供達と両親の生き生きした楽しい日々を、こちらも楽しい思いで読む事ができました。面白かったです。
「インド綿の服」は、色々な本に登場しておられる南足柄にお住まいの娘さんと、生田にお住まいの庄野潤三さんご夫妻の交流を、娘さんのお手紙を中心に綴られた、これまた楽しい本でした。